1 光村龍哉、エデンの頃

7月25日にリリースされるインタヴューブック『NICO Touches the Walls 旅の軌跡 — Interview and Photo Chronicle 2007-2012 —』。この本は、インディーズ時代の2007年から2012年の間に音楽雑誌「MUSICA」に掲載されたインタヴューをまとめ、さらに今年3月の幕張メッセ公演のドキュメントや、この本のために録り下ろしたそれぞれのソロインタヴューも盛り込んだ、NICO初のインタヴューブックです。その発売に向けて、これから毎週1回、その本の「軌跡」を少しずつお届けしていこうと思います。

MUSICAに初めてNICOが登場したのは、2007年7月号、インディーズから『Primitive-disc「エデン」』をリリースした時でした。ご存知の通り、"(My Sweet) Eden"は切なくも瑞々しい疾走感溢れるサウンドと、サビのどこまでも高く羽ばたく飛翔感が圧倒的に美しい、NICOの初期の名曲。当時この音源が編集部に届いた時、「まだ21歳のニューカマーが、こんなにも洗練されたポップ・ダイナミクスを持つ曲を生み出すとは!」と、編集部一同とても盛り上がったのを覚えています。

そんなわけで、編集部的にはかなり熱い気持ちでインタヴューに臨んだのですがーーーそんなこちらの興奮とは裏腹に、インタヴューに現れた光村はちょっと、というか、かなり浮かない表情で(笑)。実はこの"(My Sweet) Eden"が生まれる前、光村は初めてのスランプに陥っていて、半年以上まったく曲を書いていない時期が続いていたのです。小学校の頃から曲作りを始めて、それこそ1日5曲(!)書いてる時期もあったという光村にしてみれば、これは大変な事態で。結果、この時のインタヴューは、「NICOとして前に進みたい」という気持ちと、今ひとつ音楽と新鮮な気持ちで向き合うことのできない自分との間で葛藤する胸中を、とても赤裸々に語ったものになったのでした。

でも、今このインタヴューを読み返してみると、NICOの真ん中にある志や大切にしているものは昔も今も変わってないなぁと思う。当時、いろんなことに思い悩みながらも、「誰かの生活のそばにある音楽がやりたい、人の気持ちの断片でありたい」という言葉だけは迷いなく言い切った光村の想いは、『夏の大三角形』を始めとした最近のNICOの曲からも強く感じとることができると思いませんか?

MUSICA

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